ワゴンRはハイトワゴンの先駆者といえますが、背が高く車両重量があるだけに、足回りへの負担もやや多いといえます。
足回りの故障の予兆として多いのは異音や振動ですが、とくに異音は初期の段階から少しづつ出始めているので、意外と気が付きにくいことも多いです。
後部座席に人を乗せた時に「なんか変な音がするよ」と指摘されて意識し始めることも少なくありません。
今回はワゴンRを含む、スズキの軽自動車の定番(?)な異音の原因についてのお話です。
ワゴンRで走行中に異音が出るケース
止まっていると出ない異音の正体
車が走っているときにしか動かない部位とは、オートマチックや動力伝達のためのドライブシャフト、そしてタイヤのすぐそばにあるハブなどです。
つまりエンジンが停止していてもこれらの部分はタイヤが回転していると一緒にまわり、逆にエンジンが回転していてもタイヤが回転していない状態(停止した状態)だと全く動かないわけです。
つまり今回のような走行中にだけする異音は「駆動系」のどこかから発生していると特定することができます。
スズキ車のベアリングは異音が出やすい
先に異音の原因を明かすと、ワゴンRなどのスズキの軽自動車はベアリングに関する異音が他のメーカーよりも多い傾向にあります。
車には様々な機械が組み込まれているため、エンジンがかかっているといろんな音が至る所からしています。
今回のような走行中にする異音の場合、実際に止まってみて異音が消えるのかどうかなどを確認してみましょう。
車のスピードと比例するように速度が出ると異音が大きくなり、速度を落とすと異音も小さくなる場合は完全に止まった状態で確認します。
これで異音が出ないことが確認できれば、異音の原因はかなり絞られてきます。
整備士の異音の確認の方法とは
ワゴンRだと、異音は、おそらくハブと呼ばれる車軸のベアリングから発生している可能性が高いので、整備工場としての異音診断なら、車をリフトアップして直接確認します。
タイヤを四輪とも浮かせるリフトで、浮いたタイヤを静かに手で回してチェックしていきます。
顔を近づけてタイヤを回していると、通常は音もなく回転しますが、「コーーー」とか「ゴーーー」といった、
金属どおしが擦れるような音がしているなら間違いないです。
ワゴンRの場合異音がゴーっと鳴りだしたらすぐに修理を
足回りの異音は知らないうちに進行している
上記の診断で前後左右のタイヤを回していくと一本だけ音が大きい場合はほぼ間違いなくその部分のハブベアリングからの音だと断定できます。
スズキ系はベアリングの強度がコストの関係でやや他社に劣るため、走行距離にすると五万キロ以上を走っているなら、すでに異音が出始めても珍しくはありません。
前述のように、走行中の異音はタイヤのロードノイズと間違われにくく、かなり大きな異音に変化するまでドライバーが気づかないことも多いです。
ワゴンRをはじめとしたスズキ車の整備に慣れている整備士でも、タイヤが硬化している場合などは「これはタイヤ?ベアリングかな?」と判断に悩むケースが多いです。
最終的には、わかりづらいと感じたらリフトアップするしかありません。
初期段階のベアリングの異音は「コーーー」といった音質ですが、運転手が気づくころには間近で耳を澄ますと「ゴーーー」という音になっています。
ハブに大きなガタができていることも
この状態だと、車体を浮かせた状態でタイヤを縦方向に揺すってみるとガクガクとタイヤまでブレていることもあります。
ここまでくると、もちろん車検には合格しませんしかなり危険な状態といえます。
ワゴンRの場合は車重があるほうなので、同じハブベアリングの部品を使っているアルトやラパンより、ベアリングからの異音がし始めるのが早いです。
ワゴンRは後ろからの異音が定番のトラブル
リアハブベアリングの在庫、あります
僕が務める整備工場では、スズキ車の後ろのハブベアリングは在庫しています。
よく壊れるから、というのもありますが、ほぼすべてのスズキ系の軽自動車に同じベアリングが使用されています。
そのため、たった一種類のハブベアリングを在庫するだけでいいのです。整備工場としては助かりますけど(笑)
タイヤの空気圧が関係している?
これははっきりとした確証は取れていないのですが、タイヤの空気圧が低いままで走行している車ほどハンドル周りやベアリングなどへの負担が大きいように感じるのです。
車検などで入庫した車を観察していると、タイヤがやたらつぶれている車も結構きます。
とくにワゴンRなんかは、老いも若きも男女関係なく乗っている車ですから、ずいぶん雑な扱いをしている持ち主さんもいるのです。
で、決まって、タイヤの空気圧の管理がずさんな車ほどハブベアリングからの異音に気づいていない方が多いように思います。
まとめ
ワゴンRだけではありませんが、スズキの軽ではよくあるリアハブベアリングからの異音。
だからといって、決して欠陥であるとかリコールの対象になるような問題があるわけではありません。
ですが、空気圧の管理がずさんだったり、サイドブレーキを戻し忘れて走ってしまうような使い方をすると、わりと早くベアリングが傷んでいくようです。
ちなみに、このハブベアリングの交換の費用ですが、整備工場でずいぶん開きがあるかもしれません。
ディーラーだと、部品代と交換工賃で、片側10,000円くらいでしょうか。
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