車のメーターの中にはいろんなマークの警告灯が付いていますが、バッテリーの形をしたマークのものがあります。
先に結果をお伝えしますと、バッテリーのマークが点いた状態は発電機が壊れてバッテリーが充電されていない可能性が高いです。
他にも考えられる原因があり、発電機を回すベルトが滑っていたり切れている場合もあります。
今回は整備士としての僕の経験をもとに、バッテリーマークのランプが点灯する原因についてお話していきます。
バッテリーマークのランプが点灯する主な原因とは
バッテリーマークの意味
このマークは本来、「バッテリーへの充電ができていませんよ」という警告灯ですから、発電機(オルタネーター)が仕事をしていない状態ということになります。
決してバッテリーが悪いっていう意味じゃないですよ。
ちなみに僕の整備士としての経験で多かったのは
・発電機(オルタネーター)を回しているベルトが切れていた
・発電機そのものが寿命をむかえていた
上記の二つのパターンがほとんどです。
まずベルトが切れてしまっている場合は、発電機が全く仕事をしてくれていないので警告灯のマークは点灯したままで消えることはありません。
発電機が寿命をむかえている場合もかなり多く、走行距離が10万キロを超えた車だと、どんな車種でもおきる故障です。
この場合は、バッテリーのマークがチラチラ点灯したり、うっすらと中途半端な見え方をすることもあります。
どちらにせよ、これらの症状はバッテリーへの発電が追いついてない状態なのです。
このまま車を走らせるのはまずい!バッテリーの電気がみるみる消費されていくのですぐに車を安全なところに止めましょう。
バッテリーマークが点灯するトラブル事例
上記のベルトと発電機が原因でないこともあります。
たとえば、「電流センサー」が壊れていたときなどで、充電制御車のバッテリーのプラス端子に組み込まれているセンサーの異常で、バッテリーマークが点灯したこともありました。
また、充電制御車のなかには、オルタネーターのプーリーの部分にワンウェイクラッチが付いているタイプの車種も増えました。
トヨタの200系ハイエースが出たすぐのころは、オルタネーターのプーリーのが滑って発電しないこともありました。
ようするに、減速中は発電機を回して、加速中はエンジンの負担を減らして燃費を稼ぐための機構なのです。
ここが故障すると、発電しないといけないときにもワンウェイクラッチが空転することがあるのです。
当然、そうなると、オルタネーターは発電をしていないので、バッテリーマークのランプが点灯してしまいます。
日産の充電制御車にもこのタイプのオルタネーターが多く採用されています。
チラチラと点灯したりするから見つけにくいトラブルです・・・。
【関連記事】充電制御車の意味や仕組みを解説|アイドリングストップとの違い
バッテリーの警告灯が点灯するパターンとは
まず、このマークは普段はエンジンをかけるとすぐに消えて見えなくなります。つまりエンジンをかけた状態では消えているのが正常なのです。
もしもエンジンをかけて走行している状態でこのマークが点灯した場合は、バッテリーへの充電が正常にできていない状態をドライバーに知らせています。
正常な状態とは、発電機(オルタネーター)がエンジンの回転とともに回転していて、その回転に応じて車を制御するための電源になったり、余った電気をバッテリーに充電してくれています。
つまり発電機が正常だとバッテリーへの充電はプラス、つまり「黒字充電」なのです。ところが、何らかの原因で発電がなされていないと、このバッテリーのマークが点灯するのです。
つまり、バッテリーのマークの警告灯はバッテリーが悪いわけではないケースがほとんどなのです。
このマークの点灯のしかたも、大きくわけて三つのパターンがあります。
バッテリーマークのランプが
・ときどきチラチラと点灯する
・たまにずっと点灯したままになり消えることもある
・常にマークが点灯したままでずっと消えない
おおむねはこんなパターンが多いです。
メーター周りに物を置いていると警告灯を見落としてしまいますよ。
バッテリーマークがずっと点灯したまま
この場合でもっとも多いのが、発電機(オルタネーター)を回しているベルトが切れているケースです。そもそも発電機が止まったままなので、バッテリーは一切充電されてないので、バッテリーマークが点灯するのは当然です。
この場合、バッテリーのなかの電気がどんどん消費されている状態なので、バッテリーの残量がゼロになった時点でエンジンは止まります。
バッテリーマークがチラチラと点灯する
ちらちらと点灯する場合は、発電機のベルトが滑ったり、外れかけていることが原因になることが多いです。
ただし、発電機が不良になっていることでもチラチラと点灯したり、バッテリーマークがうっすらと点灯することもあります。
うっすらと点灯している場合は、発電機の内部にある「ブラシ」と呼ばれる接点の部分が消耗していまうと、初期段階でうっすらと点灯することもあります。
バッテリーマークが「たまに」ついたままになる
この、バッテリーマークがたまに点灯する場合というのは、発電機のベルトではないことが多かったです。どちらかと言えば発電機そのものの不具合が原因になることが多いです。
発電機(オルタネーター)の内部には「ICレギュレーター」と呼ばれる、発電量を制御する回路がありますが、このなかにはダイオードなどが組み込まれています。
ダイオードは熱に弱く、オルタネーターはエンジンルームの中にあるので、熱によりICレギュレーターが壊れてしまうことがあります。
とくに夏場の暑いときに突然オルタネーターが故障することもありますが、ICレギュレーターがパンク(回路の故障)してバッテリーマークが点灯することがあります。
エンジンルームの奥にオルタネーターがあるタイプは熱で壊れやすい・・・。真夏の「あるある」な事例です。
バッテリーマークが点灯したままで走るとどうなる?
発電不良はバッテリー上りの原因に
この状態だと、バッテリーに蓄電されている電気だけで車を動かしているので、バッテリー内の電気がどんどん消費され続けています。つまり「赤字充電」な状態ですね。
そして、バッテリーの中の電気を使い果たしたとたん、車のエンジンは止まってしまいます。
バッテリーは上がった状態なので、エンジンの再始動はできず、最悪の場合はハザードランプすら点灯させられなくなっています。
じつはこれをやるとバッテリーの寿命も縮んでしまうのでダブルパンチ!
この警告灯が点灯したらどうするべき?
まず、このマークが点灯したら、走行するのをすぐにやめるべきです。安全を確保できる場所にできるだけ早く車を止めてください。
バッテリーの消耗を一時的に防ぐことができますので、できるだけエンジンを止めましょう。もちろん車の電装品を使うことも極力さけるほうがいいです。
エンジンをかけたままでエアコン(クーラー)を入れるとバッテリーの消耗がいっきに進んでしまうのでこれもやめましょう。
ただし夏場の炎天下で子供さんが車内にいるときなどはこの限りではないかもしれません。
また、高速道路や幹線道路など、他の車がたくさん走ってくるような場所では、安全を確保するためにハザードランプを点灯させるのはしかたないです。
ちなみにスマートフォンの充電くらいなら、大きな電気を消費しないので少しなら問題ないです。
あとはJAFなどのレッカーサービスの救援を呼んで待つしかできないです。
バッテリー 警告灯が点灯したら どれくらい走ることができる?
本来はバッテリーの警告灯が点灯した状態ではすぐに路肩に車を止めて救援を待つしかありません。
ただし、そのときの状況によっては走行可能な限り車を走らせたいというケースもあるかもしれません。
非常事態なら乗り捨て覚悟で走行も可能
災害などでその場にいると危険な状況では、その場から速やかに移動したいなら、車を乗り捨てる覚悟で走り続けることもできます。
また、高速道路では、いつでも路肩に車を寄せることができるので、可能な限り車を走らせてサービスエリアやパーキングエリアまでなんとかたどり着けることもあります。
ただし、車のバッテリーが完全に上がってしまった場合はハザードランプも点灯させることができなくなっているので、夜間は非常に危険です。
後続車からの視認性のいい昼間の明るい時間帯なら走行し続けるほうが、結果的にはいいのかもしれません。
発電不良のままでどれくらい走れる?
リスクがある状態でも少しでも車を走らせたい場合、バッテリーマークが点灯してどれくらいの距離を走ることができのでしょうか。
僕自身は発電不良の車で実験をしたことはありませんが、発電不良の状態で走行したお客様のお話から推測することができます。
バッテリーの容量と消費する電力で違ってくる
発電機が壊れた状態のまま車を走行させるには、エンジンが止まらないことが大前提です。
コンピューターで制御しているエンジンでは、バッテリーから供給される電力が途絶えた時点でエンジンは停止してしまいます。
そのため、発電機が全く発電をしていない状態ではバッテリーがどれくらい持つのかでどれくらい走行できるのかも変わってきます。
バッテリーのマークがうっすらと点灯している場合
この場合は、かろうじて発電が少しされていることもあるので、バッテリーありきでない場合もあります。
また、発電機が時々に発電しないような場合ならかなりの距離を走行することができるので一概にどれくらいの距離を走行できるのかはわかりません。
この場合なら高速道路の次のパーキングエリアくらいまでなら走行できる可能性は高いです。つまり15km程度ならそのままなんとか走れるかもしれません。
バッテリーマークがはっきりと点灯したまま
この状態では発電機のベルトが切れていたり発電機が完全に機能していないことが多く、バッテリーの残量だけでエンジンの制御を維持しながら走行しています。
すぐにでも車を停止させるべきですが、その場に車を停めるとかえって危険であるような場合は可能な限り走行させることもできます。
この場合は1kmも走行できないことを想定し、エンジンが停止してしまった時点で惰力で路肩に寄せるつもりで走行させます。
このとき、アクセルを一定にし、可能な限り電装品を使用することを控え、エアコンを使わないほうが走行できる距離も伸ばすことができます。
時間にして5分から10分くらい車を走行させられたらまだマシかもしれません。
まとめ
バッテリーのマークが点灯する場合、発電機からバッテリーへの充電がなされていないことを運転手に知らせるためにあります。
充電不足の原因は発電機が発電していないためで、発電機のベルトが切れている、または滑っていることが原因でおきます。この場合は警告灯は点灯したままになります。
もう一つの主な原因は発電機そのものが寿命や故障で警告灯が点灯します。点灯の仕方は、警告灯がチラチラしたり、点灯したままなど、いろんなパターンがあります。
この場合は発電機を交換しないと警告灯を消すことができませんので、整備工場での修理が必要になってきます。
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