以前に書いた別の記事で、エアコンをすぐに効くようにするにはエンジンの回転を上げることだと紹介しました。
ところが、エアコンの不調症状のなかには、エンジンの回転を上げるとエアコンが全く効かなくなることもあります。
今回は、ある部分が故障したことで起きるエンジンの回転を上げるとエアコンが止まるというケースのお話です。
エアコンが突然きかなくなる理由
鍵を握るのはコンプレッサー
車の冷房の効きを大きく影響するのが、クーラーとしてメインの部品となるエアコンコンプレッサーで、コンプレッサーがいかに仕事をするかと言う部分に冷房の効きが大きく左右されてきます。
コンプレッサーが働くなる原因としては、ガス漏れが発生しフロンガスが抜けてしまいガス不足になることで電源をカットする制御がはたらいてしまうことが挙げられます。
エアコンのスイッチをオフにしているときは、コンプレッサーの前側にあるマグネットクラッチには電源が来ていません。
コンプレッサーを保護する制御が入るとクーラーは効かなくなる
クーラーガスが不足していると、圧力スイッチからの信号が途切れ、コンプレッサーを壊さないようにマグネットクラッチへの電源をカットし、コンプレッサーを作動させないようになっています。
基本的にはエアコンが全く効かない時があると言うのはガスが不足しているのではなくコンプレッサーを作動させるマグネットクラッチの電源が切れていることが多いです。
中にはガスが少ないと言うだけではなく別の原因もあればコンピューターが判断してマグネットクラッチの電源を遮断してしまうこともあります。
基本的にはエアコンが全く効かない時があるというのはガスが当たらないのではなくコンプレッサーを作動させるマグネットクラッチの電源が切れていることが多いです。
ガスが不足している場合もマグネットクラッチの電源を切るようにエアコン専用のコンピューターが判断しています。
この中にはガスが少ないと言うだけではなく別の原因もあればコンピューターが判断してマグネットクラッチの電源を遮断してしまうこともあります。
コンデンサーの状態によってはクラッチが切れてしまう
電動ファンの故障などでコンデンサーが冷えなくなり異常な高圧になるとクラッチへの電源がカットされます。
コンデンサーファンの重要さ
マグネットクラッチへの電源がカットされる原因として、コンプレッサーで圧縮されたフロンガスが高圧になりすぎてカットされることもあります。
原因としてよくあるのがエアコンのコンデンサーを冷却しているコンデンサーファンが作動しなくなるケースです。
コンデンサーの中を流れている高圧に圧縮されて後になっているフロンガスが温度が上がりすぎるため、これもコンプレッサーを保護するために電源がオフになってしまうこともあります。
コンデンサーファンモーターが故障することで圧縮されたフロンガスが冷却されず、高圧側のフロンガスが高圧になり、保護機構が働いてマグネットクラッチの電源を遮断ししまったことだと考えられます。
少し余談ですが、コンデンサーファンモーターが壊れる原因として、台風などによる車の水没があり僕がいる地域でも高潮による被害で多発したことがありました。
クーラーガスを入れすぎても電源がカットされる
ガソリンスタンドでエアコンガスを補充した直後に起きた事例
夏場になってエアコンの効きが悪いからと言うことで少しだけ点検を依頼とするとそれは手軽さと言う意味ではガソリンスタンドが1番依頼しやすいのかもしれません。
ところがガソリンスタンドではそれほどエアコンに関する知識がないサービスマンも作業をすることが多く、必要以上にフロンガスを入れてしまうケースがかなり多いです。
その背景としては売り上げを上げたいからと、限界ギリギリまでフロンガスを注入してしまうことです。
クーラーガスは1本につき200グラムが入っている製品が多く、「クーラーガス注入×1本」という売上にするにはどうにかしてガス缶を全量入れてしまいたいという心理が働きます。
まとめ
エンジンの回転を上げることで、コンプレッサーが止まると言う現象は、なにかしらの制御が働き、マグネットクラッチへの電源がカットされているケースが多いです。
この原因として多いのが、コンデンサーの冷却用のファンモーターが故障することによりフロンガスが冷却不足になり高圧側が高くなり結果的に保護機構が働いてコンプレッサーの電源が切れてしまうことです。
また、エアコンガスが入りすぎていることも多く、サービスマンの知識不足によるガスの入れすぎが原因になるケースも多いです。
ごくまれにクーラーユニット内部のエバポレーターが冷えすぎて、凍結してしまうことで保護機構が働いてコンプレッサーの電源を一時的に切ってしまうこともあります。
冷房に関しては暖房よりも複雑な仕組みになっているため、冷房が効かなくなる原因も多岐にわかれるので、診断には専門知識が必要になってきます。
コメント
はじめまして
車のエアコンの不調原因を検索していたら、こちらに辿り着きました。
猛暑で困っていますので、アドバイスを頂けたら幸いです
ボルボC70 2012
エアコンは停車時や通常走行時は効くが、外気温35度以上やエンジン回転数が1500回転を超えると効きが極端に悪くなり、高速道路のように80キロ以上で常時1500回転以上の走行を続けると全く冷えなくなります。真夏の空いている高速道路は渋滞時よりも灼熱地獄となります(笑)
ブログにあるようにガスの入りすぎや、センサー類の異常が疑われるのでしょうか?
虎丸様
いただいたご質問ですが
>ボルボC70 2012
>エアコンは停車時や通常走行時は効くが、
>外気温35度以上やエンジン回転数が
>1500回転を超えると効きが極端に悪くなり、
>高速道路のように80キロ以上で
>常時1500回転以上の走行を
>続けると全く冷えなくなります。
↑
この場合、ガスの入れ過ぎではないように感じます。
気になったのが
>1500回転を超えると効きが極端に悪くなり、
この部分ですが、おそらくエンジンの回転数が上がると、なんらかの理由でマグネットクラッチへの電源がカットされているようです。
コンデンサーファンが壊れている場合でもこのような症状になりますが、高速道路を巡航している場合でも冷えないとのことなので、コンデンサーの冷え不足ではないようです。
ただ、1500回転を超えると効きが悪くなるという条件なら症状を再現できるようなので、整備工場で高圧側の圧力を測定してもらうほうがいいですね。
御礼遅くなり恐縮です。
ありがとうございます。
マグネットクラッチと高圧側の圧力異常の点検をお願いすれば良いのですね!
サボカジさんのように、経験豊富で親身に様々なリスクやパターンを提示してくれる整備工場や整備士がどこなのかが分からず、いつも困っています。
ディーラーは高いし最近は修理時間もかかるし、腕が良いと聞く整備工場に遠くまで行っても代車もなくて、帰るにも困ったり…
サポカジさんは、どちらの都道府県で整備士されているんですか?
首都圏なら、整備をお願いしてみたいです
虎丸様
>経験豊富で親身に様々なリスクやパターンを
>提示してくれる整備工場や整備士が
>どこなのかが分からず、いつも困っています。
>ディーラーは高いし最近は修理時間もかかるし、
>腕が良いと聞く整備工場に遠くまで行っても
>代車もなくて、帰るにも困ったり…
↑
自動車整備士という職業は斜陽産業とも言われ、業界から出ていく人も多いです。
とくにディーラーにはベテランと呼ばれるほどのキャリアの持ち主が少なく、
特殊な症例や古い車への対応も難しくなっているようです。
>サボカジさんは、
>どちらの都道府県で整備士されているんですか?
>首都圏なら、整備をお願いしてみたいです
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