初めてCVT車に乗り込んだ時、あなたはそのフィーリングをどう感じたでしょうか。
中には「これ壊れてるんじゃないの?」と感じた方もおられたようです。
では、どうしてこんなにCVTの車は違和感を感じるのでしょうか。
今回はCVT車のフィーリングや乗ったときの気持ち悪さの理由についてお話ししていきます。
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CVT車が運転しにくいと感じる理由
従来のAT車の変速ショックが運転手に与える情報
従来のAT車だと自動的にシフトアップするときにコツンといった変速ショックが運転手に伝わり、運転手に「今はどのギアに入っているのか」を伝える重要な情報になっています。
慣れ親しんだ自分の車なら、変速ショックのタイミングが感覚でわかるようになっていて、運転手はエンジン特性をうまくいかそうとアクセルワークを工夫します。
さらに、この感覚がつかめてくると、シフトアップをさせたいときは、わざとアクセルを抜いてシフトアップさせるということもできるようになります。
またAT車は加速をしたいときにアクセルを踏み込むことでキックダウンさせることができるので、マニュアル車に近いようなシフトダウンを行うこともできます。
つまりAT車の変速ショックは運転手がその車のエンジン特性を掴み、自分の意のままに車を操るための感覚をつかむための情報だといえます。

シフトアップした時の変速ショックて、加速するときのリズムをつかむことにもなりますよね。
CVT車の変速ショックがないことの違和感
AT車に対してCVT車の場合は、変速ショックが全くないので、AT車のようにエンジンの特性を変速ショックを通して感覚的につかむことが難しくなります。
オートマチック車は、変速などの制御を全てコンピューターでやっていて、シフトアップやシフトダウンのタイミングすらコンピューターが決定していきます。
またコンピューターは、様々なセンサーなどの情報をもとに、運転手のアクセルペダルワークなども学習していきます。
コンピューターの学習機能もCVTとATで違う
運転手の意のままにシフトアップやシフトダウンをすることをコンピューターが学習していくのですが、AT車とCVT車ではギアの数が違います。
そもそもCVTにはギアというものがありません。無段階にギア比を変えることが最大の特徴とも言えます。
それに対してAT車では4速トランスミッションなら、4つのギアで全ての走行条件をカバーすることになります。
そのため、CVT車に対してAT車の方がギア比のが合わないようなケースもあり、制御が荒削りというか、マニュアル車のように、そのエンジンの苦手な回転域でややもっさりとした瞬間を我慢することがあります。
運転手にとっては、このわかりやすいギアの切り替わり方が車の特性や加速のタイミングをつかみやすいといえます。
不得意なトルクバンドを使わないようにアクセルワークでシフトチェンジを狙ったりと、不便だからこその、コツというか車との対話を積極的にすることにもなります。

じつは、CVTのほうがエンジンの特性を活かして走ラセル時間が長く、燃費の改善にも貢献しています。
CVTを運転して気持ち悪いと感じる原因
コンピューター制御と電子スロットルの弊害
↑ 電子スロットルを動かしているのは運転手ではなくコンピューター
CVT車だけではありませんが、オートマチック車は次々と「電子スロットル化」されていっています。
電子スロットルとはそれまでのワイヤーでアクセルを操作していた古いタイプとは違い、モーターで運転手のアクセルワークをワイヤレスで操作しています。
そのため、運転手がアクセルペダルを踏んでも実際にはスロットル操作は行われず、
これこそがCVT車に感じる掴み所のない気持ち悪さの正体だといえます。

個人的には、昔ながらのアクセルワイヤーでスロットルを開くタイプのほうがレスポンスがよくて好きなのですが、今やバイクですらワイヤレスのスロットルなんだとか・・・。
運転手の経験の差も関係する?
例えば初めて原付バイクに乗ったときあなたは何か違和感を感じたでしょうか?
同じように若いドライバーが初めてCVT車に乗り込んだときまた所有した時その車から経験が始まることでCVT車の変速の特性に慣れています。
むしろAT車にその後乗ったことでゴツゴツと気持ちが悪いと感じるかもしれません。
つまり、最初から変速ショックがないCVT車に乗っていればそれが普通だと思うのです。
これは僕自身がお客様にCVTの車を販売したときに若いお客様から聞いた話ですが、新車から納車した後の安全点検の際に
「何かお困りな事はありませんか?」
と聞いてみたのですが、「すごく乗りやすくて普通ですよ」
と言う答えが返ってきました。
そのお客様にとってはCVTが基準なのでそもそも気持ち悪さなどはないのです。
CVT車がつまらないと感じるのはなぜ?
エンジンを操る楽しさが奪われた?
CVT車と対照的な操作フィーリングと言えば、マニュアルトランスミッション車(以下MT車)ではないでしょうか。
MT車は、運転手がエンジンの特性を把握し適切なタイミングで自分でシフトチェンジをしなければ滑らかに車を走らせることができません。
そのため運転手はエンジンの特性やクラッチミートのつながるタイミング、ギアのシフトタイミングなどをつねに考えながら運転しなければなりません。
この感覚はマニュアル車を長く持った方でなければわかってもらいにくいかもしれません。
いわば、能動的に車の操作に関わることができるのがMT車だと言えます。
特にターボ車をマニュアルトランスミッションで乗ると、エンジンのトルク特性を存分に楽しむことができます。
狭いトルクバンドにうまくシフトを合わせ、そのエンジンの最も得意な回転域を維持させつつ車の性能を引き出す。
これこそが車を運転する楽しさだといえます。(※余談ですが僕自身はバイクも乗ります)
つまりCVT車はつまらないと感じる運転手さんは、
もともと運転が好きでマニアル車を長く乗っていた人が特に感じるのだと思います。
MT車やAT車とはあまりにも感覚が捉えづらいからこその「CVTは気持ち悪い」なのでしょう。
CVTは今後も作られる
オートマチック・トランスミッションの中でもCVTは日本車のなかでは大きなシェアをしめています。
今後もCVTと付き合っていかざるを得ないこともあり、その特性を理解をすることでネガティブなイメージを払拭することができるかもしれません。
またCVTに関する別の関連記事をお読みいただくことでCVTへの理解が深まり、運転しやすくなるかもしれません。
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