カーエアコンのマグネットクラッチ交換費用は?交換できない車種もあり

マグネットクラッチ交換作業 エアコン

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カーエアコンのコンプレッサーにはマグネットクラッチと呼ばれる部品があり、この部分の作動不良が原因でエアコンが効かないことがあります。

マグネットクラッチの構造などについては別の記事を読んでいただくとして、今回はマグネットクラッチの交換費用についてお話していきます。

さきにざっくりとした費用を述べると5万円以下で収まるケースが多いのですが、車種によっては大変なところに付いていて、作業料金が跳ね上がることもあります。

また、特定の車種のなかにはマグネットクラッチだけの交換ができない場合もあり注意が必要です。

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マグネットクラッチ交換の費用は?

マグネットクラッチ三点セット

サボカジ
サボカジ

↑ 左から、

フィールドコアコイル、ローター(プーリー&ベアリング)、アーマチュアの3点でマグネットクラッチは構成されています。

作業内容と費用の関係

作業内容 作業時間と交換費用 交換部品 合計費用
クラッチ単体で脱着可能な場合 30分~1時間

5,000円~8,000円ほど

マグネットクラッチ
(15,000円ほど)必要に応じてエアコンベルト(5,000円ほど)
 

20,000円~28,000円ほど

コンプレッサーを動かす場合 1.5時間~2時間

10,000円~20,000円ほど

マグネットクラッチ(15,000円ほど)

必要に応じてエアコンベルト(5,000円ほど)

30,000円~40,000円ほど
コンプレッサーを取り外す場合 2時間~4時間

20,000円~40,000円ほど

マグネットクラッチ
(15,000円ほど)エアコンガス(6,000円ほど)○リング(400円ほど)必要に応じてエアコンベルト(5,000円ほど)
46,500円~66,400円ほど

 

※マグネットクラッチにはコイル交換も含んでいます

マグネットクラッチ単体で交換するのはコスパが悪い?

マグネットクラッチの交換費用をざっくり説明すると上記のようにコンプレッサーを取り外すかどうかでかなり違ってきます。

コンプレッサーを外してしまう場合は、「そこまでするならコンプレッサーも交換するべき」と考える整備工場も多いです。

次の章でくわしくご説明していきます。

簡単なマグネットクラッチ交換の費用

エアコンコンプレッサー 外観

サボカジ
サボカジ

右前のタイヤとカバーを外せばマグネットクラッチが丸見えになる車種もあるので

作業時間はかなり短くすみます。

とはいえ、

コンプレッサーの価格が安い場合はまるごと交換してしまうことが多いです。

マグネットクラッチは、エアコンのコンプレッサーの前側部分にあり、交換をするためにはコンプレッサーと切り離す必要があります。

スムーズに交換できれば工賃も安くなる

一部のハイブリッド車や電気自動車を除けば、車のエアコンコンプレッサーはエンジンの力を使って回しています。

そのためコンプレッサーはエンジンルームにあり、マグネットクラッチの交換をするためにはコンプレッサーの周りのスペースがどれだけの広さなのかが重要になってきます。

もしもコンプレッサー周辺に十分な空間があり、工具が当てられる場合はマグネットクラッチだけを取り外すことができるので交換にかかる時間も大幅に短くなります。

この場合だと、コンプレッサーをエンジン取り外す必要もなく、エアコンのガスを抜く必要もありません。

そのため、マグネットクラッチ単体で交換できるなら、交換作業料金は5,000円くらいで終わってしまうこともあります。

作業工程としては、

①コンプレッサーのベルトを外す

②マグネットクラッチ中央のボルトを緩める

③クラッチ単体を取り外す

④シムの厚みを変えてクラッチの隙間を調整して取り付ける

⑤コンプレッサーベルトの張り調整

ざっくり言えばこんな感じです。

あとはマグネットクラッチの部品代金だけでいいので作業料金はかなり安く上がります。

もっとも簡単なマグネットクラッチの交換作業の場合
交換作業料金   5,000円ほど
部品代金           15,000円ほど
_____________________________
合計        20,000円+税

つまり2万円と消費税ほどで済んでしまうケースもあるのです。

コンプレッサーを『動かす』だけで交換できる場合

エアコン修理 コンプレッサー・コンデンサー交換

エアコンのコンプレッサーはエンジン周辺にありますが、4本ほどのボルトだけでエンジンに取り付けられていることもよくあります。

たとえば軽自動車なら、横置きになっているエンジンのフロント部分にあるので、フロントバンパーを外せばコンプレッサーは丸見えになります。

なかにはバンパーすら外さなくてもいい車種もあり、コンプレッサーを保持しているボルトを外して配管ごとぶら下げてしまえばマグネットクラッチだけの交換ができます。

この場合は、上述したマグネットクラッチだけを交換できるケースよりもコンプレッサーを外すぶん、少しだけ交換作業料金があがります。

コンプレッサーを動かしてマグネットクラッチを交換する場合
交換作業料金     8,000円ほど
部品代金        15,000円ほど
_________________________________
合計        23,000円+税

コンプレッサーを取り外すと交換費用がかなり上がる

マグネットクラッチ交換作業

エンジンルームが狭い場合、エアコンコンプレッサーの周辺にもあまりスペースがなく、マグネットクラッチの交換もエンジンルームのなかではできません。

そのため、コンプレッサーと一緒にエンジンルームから外して単体にする必要があります。

エアコンガスの抜き換えが必要

マグネットクラッチを交換する場合、コンプレッサーごと取り外してしまうことが多く、そのためにはエアコンのガスを全量抜いてしまう必要があります。

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抜いてしまったエアコンガスはガス回収機のボンベに回収されますが、異物混入などのリスクがあるので再使用しない整備工場が多いです。

そのため、コンプレッサーを脱着することで新しくクーラーガスの補充も必要になり、それだけ交換にかかる費用も上がってしまいます。

クーラーガスの価格は、現在で主流になっている『R134a』と呼ばれるタイプのもので200グラム入りの缶が1,000円~2,000円ほどで修理費用に含まれます。

軽自動車やコンパクトカークラスの車ならフロンガスの全容量は300g~400gで、大型のセダンや7人乗りのミニバンなどでは500gくらいガスが必要です。

そのため、コンパクトカーや軽ではフロンガスが2缶ほど、それ以上のクラスでは3缶ほどのフロンガスの費用が追加されます。

コンプレッサー取り外しの手間も費用に加算される

エアコンコンプレッサーはエンジンの近くに配置されていますが、まるごと取り外すための手間や時間は車種によってかなり違ってきます。

コンプレッサーを取り外すためには、エアコンベルトを外し、エンジンや周辺の補機類と繋がっているボルトやステー、さらにマグネットクラッチに繋がるハーネスなども外していきます。

狭い空間しか確保できない車種では、これらの作業をするために車をリフトアップしたり、周辺の障害物になっているエアクリーナーのダクトやカバーも外すことがあります。

とくに、運転席の下にエンジンルームがあるようなハイエースとか軽箱バンなどはコンプレッサーを引っ張り出すようにしないと出てきません。

そのぶん、ボンネットタイプの乗用車よりも作業に時間がかかるため、キャブオーバータイプの車はコンプレッサーの脱着作業の料金も高くなります。

コンプレッサーをまるごと交換するメリット

エアコンのコンプレッサー

多くの整備工場がクラッチ単体交換をしたがらない

いっぽうで、マグネットクラッチだけを交換するリスクやデメリットもあります。

その場合はコンプレッサーをまるごと交換してしまうことが多いです。

マグネットクラッチだけでなくコンプレッサー内部にも問題があったり、消耗が進んでいる場合はならまるごと交換がコスパがいいということになります。

また、マグネットクラッチを交換するためにコンプレッサーを車体から外さないとできない場合は、せっかくコンプレッサーを外したのなら全部交換しても手間は変わらないケース。

整備工場ではエアコンの修理に関しては「一度の修理で終わらさないといけない」という使命感というか、クレーム対策も意識しているので、よほど自信がなければまるごと交換を選びます。

・コンプレッサー内部にも故障や消耗が見られる
・マグネットクラッチ単体交換はシム調整が必要になる
・マグネットクラッチだけを外す難易度が高い
上記の場合はマグネットクラッチ単体の交換はしないケースが多い

 

マグネットクラッチだけの交換ができないケース

クラッチ単体の部品設定がない車種もある

マグネットクラッチ単体の交換ができないコンプレッサー

そもそもマグネットクラッチだけの部品設定がない車種もあり、中古のコンプレッサーからマグネットクラッチを外して移植するという方法は現実的ではありません。

僕の経験ではスズキ車にこのタイプが多いように感じますが、部品の細かい設定をなくすことで部品管理のコストカットや部品の製造工程でも点数を減らすためだと思ってます。

いっぽうで、ホンダ車では細かい部品の設定をしていることが多く、部分的な修理などもできることが多いです。

とはいえ、エアコンのコンプレッサーに関しては、リビルト品や新品でごっそりと交換してしまいたいころです。

マグネットクラッチがない車種もある

ハイブリッドカー エンジンルーム

サボカジ
サボカジ

エアコンのコンプレッサーを電動化しているハイブリッドカーは

マグネットクラッチも必要なしです。

外部制御式の連続可変容量式コンプレッサー

コンプレッサーの構造が違っていることもあり、マグネットクラッチが付いていないエアコンコンプレッサーもあります。

これは『連続可変容量式コンプレッサー』、『DLコンプレッサー』と呼ばれるタイプのもので、外部からの制御でコンプレッサーの容量を変化させています。

つまり、従来のコンプレッサーのようにマグネットクラッチのオンとオフだけの制御ではなく細やかにコンプレッサーにかかる負荷を調整することができます。

低燃費やコンプレッサーの小型化、静粛性を目的としているようですが、壊れるとコンプレッサーの価格もそれなりにします。

マグネットクラッチは必要なくなりますが、つねに内部が回転したままというのがネックで、故障した場合は内部に循環している不純物がエアコンサイクルに回ってしまいます。

サボカジ@整備士
サボカジ
@整備士

結果的には連続可変容量式のコンプレッサーは

修理するときに高額な費用がかかることが多いです。

最後に

エンジン補器類

今回はマグネットクラッチの交換に関するお話でしたが、整備士としての実務ではそれほどやらない作業かもしれません。

マグネットクラッチの寿命が近い状態なら、コンプレッサー本体の状態もあまりよくないので、せっかくコンプレッサーを外すなら全部交換してしまうほうがリスクも低いです。

とはいいつつ、特定の車種のなかにはマグネットクラッチのコイルの部分が熱などで壊れてしまうこともあり、マグネットクラッチを脱着することもあります。

その場合はコイルだけを交換することもありつつ、予防整備としてクラッチのベアリング部分も交換してしまうことが多いです。

けっきょくのところ、車種によって交換にかかる作業時間にかなりの差があるため、コンプレッサーまるごとの価格によってはクラッチ単体の交換はやりません。

整備士としては一度の修理で完結してしまいたいですし、長い目で見ればお客様の負担も減らすことができるからです。

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