今回はスズキのエブリィやエブリイワゴンの中でもDA64系のモデルによくあるハンドル周りの異音についてのお話です。
先に結論をいうと、運転席の足元に伸びているステアリングシャフトの付け根にある、
防水・防塵のためのグロメットとステアリングシャフトが擦れる音が原因です。
その音はどんな音で
どうすれば異音を消すことができるのか、
予防をすることはできるのか?
画像をお見せしながらご説明していきます。
スズキのエブリィ・キャリィでハンドルを回すと異音がする事例
原因はグロメットとステアリングシャフトの擦れる音
先に今回の異音の原因をお伝えすると、ハンドルを回すことでその下側にあるステアリングシャフトも回転し、車外につながっている防水用のゴム製のグロメットがこすれることで異音が発生します。
つまりステアリングシャフトと直接触れているグロメットは硬質なゴムでできているので、シャフトが回転すると異音を発生させることがあります。
グロメットとはどんな部品?
グロメットとは、ゴムや樹脂でできた部品で、自動車の場合は車体に開けられた穴を塞ぐために使用されることが多いです。
また、配線やワイヤーを車内から車外に通す場合にはその隙間をなくし、防水や防音、防塵のために使われます。
今回のようにステアリングシャフトが、運転席の足元から車外のステアリングギアボックスにつながっている場合は、シャフトが回転しても水分が車内に侵入しないように使用されています。

ステアリングシャフトのグロメット車外につながっているうえに常に擦れていることもあって劣化が進みやすいのかもしれません。
ゴムパーツの経年劣化が原因?
新車の状態では起きなかったような異音の原因として多いのは、プラスチックやゴム製部品の劣化によるものです。
今回のようにゴム製のグロメットでは、気温の変化や水分の付着、単に時間の経過で起きる経年劣化によりゴムとしての弾力が失われ硬化していきます。
硬化したゴム部品と金属が擦れると摩擦が大きいために微細な振動が発生し、その振動が高周波の音を発生させます。
「キューキュー」とか「キュルキュル」などの比較的に高い音域の異音になるのは、それだけ振動が細かいということでもあります。
さらにゴム製グロメットが硬化していくと、ハンドルを回したときの異音は「グググ」とか「ギュルギュル」といった低い音に変化していきます。
おそらくこれくらいの異音になっているころには、グロメットにはひび割れが入っていてボロボロになっていると考えられます。
エブリィ・キャリィのハンドルから「キーキー」「キュルキュル」などの異音の解消方法
ステアリングシャフトのグロメットの交換は大変
小さなゴム部品であるグロメットは、価格にして数百円ほどですが、この部品を交換するためにはステアリングシャフトをギアボックスから切り離す必要があります。
やってやれないことはありませんが、費用対効果を考えると現実的ではありません。
そもそもグロメットから発生する異音を解消したいだけなので、よほどグロメットが硬化して割れたりしていない限りは交換する必要はありません。
部品交換よりも応急処置でOK
「キーキー」とか「キュルキュル」といった異音の場合はまだ初期症状なので、グロメットの防水機能はまだ失われていません。
そのため、ステアリングシャフトとグロメットの滑りをよくするだけで数か月から一年くらいは異音を消すことができます。
ゴムと金属部品の擦れ音にはシリコンスプレーが有効
グロメットが硬化し始めているような初期の段階なら、異音対策としてはグリスアップがお薦めです。
プロの整備士としてもよくやる対処法で、車検や一般整備でお客様から「ヘンな音がするんだけど」と相談されたときは、グリスアップで異音を解消しています。
とくに樹脂製やゴム製の部品から発生する擦れ音などの異音には、シリコングリスを霧状に噴霧してくれる「シリコンスプレー」が便利です。
グロメットの隙間にグリスアップで完了
じつに単純な異音対策ですが、作業としては回転するステアリングシャフトと触れている部分にシリコンスプレーをするだけでおしまいです。
ただし、グロメットにスプレーを吹きかけるだけではステアリングシャフトとの接触部分にしっかりとシリコングリスを浸透させることができません。
できるだけグロメットとシャフトに隙間を作りそこへ直接にスプレーのノズルを差し込むようにするほうが確実にグリスアップすることができます。
今回は、画像のようにプライヤーを使ってグロメットを少しだけつまんで楕円形に変形させてグリスアップをしました。
ただ、他にもいろんなやり方があり、細いマイナスドライバーを使ったり、爪楊枝でもいいのかもしれません。
ペダルパッドに付着させないように!
シリコンスプレーはスプレーさせることがメリットなのですが、霧状に噴霧させることで思いがけない部分にシリコングリスを付着させてしまうことがあります。
とくに運転席の足元にはブレーキペダルもあり、ペダルパッドにグリスが着いてしまうと、急なブレーキング時などで靴底が滑ってしまうことになりかねません。
古いタオルや布ウエスなどで余計な場所にスプレーをしてしまわないように気を付けましょう。
もしも誤ってシリコングリスが付着してしまった場合は乾いたウエスなどでふき取るか、パーツクリーナーがあれば洗い流しておくといいでしょう。
シリコンスプレーはなにかと便利
今回はスズキのエブリィやキャリィのハンドルを回したときの異音についてでした。
ゴム部品のグロメットと金属製のステアリングシャフトとの擦れ音の対策にはシリコングリスを噴霧してくれるシリコンスプレーが便利です。
他にもステリングのボスの部分からキーキーという異音がするときなどはホーンの接点部分が擦れて異音の原因になることもあります。
そんなときもスプレータイプだと、隙間からシリコングリスを吹き込むことができるので、グリスアップのために分解をする必要もなく非常に便利です。
また、ベルトから異音がするときにも異音の原因がベルトなのかどうかを確認するときにもシリコンスプレーを使うこともあります。
とくに古くなったファンベルトなどは、冬場の朝にだけキュルキュルとベルト鳴きがするときにもシリコンスプレーで対処することもあります。
そのほか家のなかでもシリコンスプレーがあれば重宝するので、車のDIY以外にも使い道があります。
【関連記事】DA64Wエブリィワゴン|10万キロ超えの状態は?あと何年何キロ乗れる?
コメント
社用車のエクストレイルでハンドル回したらギュルギュルという音が鳴っています
ハンドル操作などに異変は感じなかったので後回しにしていました
繁忙期が収まった今年7月に取引先の整備工場で診てもらうと、ハンドルの付け根?のゴムとの接触で鳴っていたようでした。特に走行不能になるなど深刻なものではなかったです
とりあえず治すけどすぐ鳴るよ、と言われました
治った直後は感動しましたが1週間ほどで再発しました
今は20万キロも走った車だし仕方ないとそのまま乗っています笑
タカハシ様
ハンドル周りからの異音は走行距離が伸びてくるとよく出ますね。
今回の記事で紹介したグロメットからの擦れ音もいろんな車種で起きます。
また、僕が乗っていたインプレッサはでもステアリングギアボックスを保持するためのブラケットに挟んでいるゴムの部品が劣化するとハンドルを据え切りすると「ギュイギュイ」という嫌な音がしていました。
もしかするとエクストレイルでも起きるのかもしれません。
交換するにはギアボックスを外す必要があるのですが、クロスメンバーやフレームとの関係で、けっこう整備士泣かせな作業かもしれませんね・・。