エンジンの振動と異音診断 |カラカラという音の原因を考えてみる

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車の中でもとくに振動や異音が出やすい場所はエンジンまわりです。

また、振動が原因で異音もするというセットでのケースも多いです。

異音の原因を作っているのはエンジンでも、

音の出どころはエンジン周辺のパーツの振動であることもあります。

プロの整備士に依頼しないと原因が特定しにくいと考えるかたもいますが、

簡単な原因なら自分で見つけてしまうこともできます。

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エンジンの振動が原因でカラカラと異音がするケース

エンジンルーム1

樹脂製の部品の振動で出やすい異音

「カラカラ」という表現は、軽くて少し大きめの部品からの異音にも使われる表現です。

僕の経験では、お客様から「エンジン周りからカラカラとヘンな音がする」と相談を受けたら、まずはエアクリーナーのダクトなどを疑います。

エアクリーナーのダクトは、樹脂でできている少し大きめの部品で、軽くてエンジンの振動の影響を受けて「カラカラ」とか「コトコト」などと聞こえることが多いです。

とくに信号待ちなどで、オートマチックのシフトをドライブレンジに入れたままでブレーキを踏んで待っているときになりやすい症状です。

「カラカラ」と「コトコト」は同じように聞こえることが多く、整備士とお客様の意思の疎通がかみ合わない時もあります。

そんなときは一緒に車に乗り込んで、同時に音を確認するようにしています。

その場合、共通の認識として「カラカラ」と聞こえた場合は、エンジン本体からの異音ではないことがほとんどです。

エンジン本体から異音がする場合は、硬くて重い金属製の部品から発生するので、

「カラカラ」よりも、「カタカタ」とか「カンカン」といった表現をされることが多いです。

車のタイプによっても違って聞こえる?

エンジンルームからの異音は、車種によっても聞こえ方が違うことがあります。

たとえば、軽トラックのように、運転席の真下にエンジンがある場合、薄っぺらいシートのすぐ向こう側にエンジンがあるので、かなりダイレクトに聞こえてきます。

それに対して、セダンタイプの車の場合、エンジンルームは運転席の前方にあり、しかも遮音処理もしっかりとされているので、異音がしても聞こえにくくなります。

そのため、少しくぐもったように聞こえるため、「カラカラ」という異音でも違って聞こえることがあります。

運転席とエンジンルームが離れていたり、遮音処理がされている車であるほど異音の診断は難しくなることがあります。

振動の原因になる要素とは

樹脂製のダクトなどが振動して異音に

今回のように、振動からの異音の場合、振動が発生する原因を解消してしまうことで異音も出なくなることがあります。

つまり、異音の原因は振動であり、まずは振動の原因を探るほうが、結果的には異音診断の近道になることもあるのです。

そこで、エンジンが振動する原因をまず考えて予測していく必要があります。

エンジンの振動としてまず考えらるのが、「エンジンマウント」と呼ばれる部品です。

ダイハツ KF型RHエンジンマウント

エンジンマウントは、エンジンと車体を連結させている部分のことで、金属製の部分と硬いゴムの部分があります。

それぞれの金属部分が車体やエンジンにボルト付けされていて、その間にあるゴムの部分のおかげでエンジンの振動を車体や運転席に伝わらないようになっています。

ところが、ゴムの部分が劣化してくると、エンジンの振動を吸収しきれなくなることがあり、最終的にはマウントのゴムの部分が完全にちぎれてしまっていることもあります。

そうなると、エンジン本体に不具合がなくてもエンジンの振動がもろに周りに伝わるようになり、周辺の樹脂製の部品なども振動して「カラカラ」と異音を発生することがあります。

わりと大きめの音がするので運転手はかなり驚いてしまいますが、補助的な部品なので走行に支障はありません。

ごくまれにミツビシの軽自動車であった、エアクリーナーのダクトがエンジンルームから脱落してエキゾーストマニホールドに干渉するようなリコールもありました。

排気系の遮熱板が振動して異音に

エンジン本体とほぼ直結するように、吸気系のインレットマニホールドと排気系のエキゾーストマニホールドと呼ばれる2つの給排気の通路があります。

とくにエンジンからの排気ガスが通るエキゾーストマニホールドは、高温になるため、アルミやスチールでできた薄い遮熱板が覆われていることが多いです。

ところが、この遮熱板、必要最低限の取り付けしたされていないことが多く、排気熱でボルトが劣化すると遮熱板が外れかけになることがあります。

すると、エンジンの振動にともなって「カラカラ」といった異音を発することがあります。

とくにエンジンの回転が低く、振動が大きくなりやすいアイドリング状態でシフトをドライブレンジに入れていると遮熱板も一緒に振動して「カラカラ」とか「カタカタ」といった異音になることがあります。

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振動をともなう異音の原因の見つけ方

エンジン 振動

運転席から振動を意図的に出す方法

もしもエンジンからの振動が原因でカラカラといった異音が発生している場合だと、意図的に振動を大きく出して異音の発生源を見つけることができます。

その場合、もっとも振動しやすい状態とは、上述したように、

・エンジンがアイドル状態

・シフトがドライブレンジに入っている

・ブレーキを踏んだままで止まっている

この条件を揃えることで、エンジン廻りからブルブルといった感じの振動が起きやすくなります。

すると、エアクリーナーまわりのダクトや、エキゾーストマニホールド周辺の遮熱板などが原因で異音になっている場合は、かなりの確率でその音を再現することができます。

ただし、エンジンが暖まった状態からエンジンルームに手を入れることは火傷につながるので、すぐにエンジンルームを点検することはやめておきましょう。

できれば、整備工場に異音が発生しやすい条件や、発生する異音が「カラカラ」といった音の質であることを伝えれば、担当する整備士も異音の原因を特定しやすくなります。

 

カラカラ音の原因を修理する費用と時間は?

エンジンマウント トヨタ

吸気系のダクトなどからの異音の場合

エアクリーナーエレメントのボックス周りやダクト周りからの異音であれば、振動している部分を結束バンドなどで縛ってしまうことで簡易的に異音がならないようにすることができます。

ところが、そもそもの振動の原因がエンジンマウントのヘタリや、エンジン本体の失火などとなると、不具合の原因となる部品を交換することになってしまいます。

エンジンマウントの交換の場合だと部品代と作業料金を含めて

20,000円から40,000円くらいになることが多いです。

ただし、エンジンが車体の奥にあるようなミッドシップレイアウトやV型エンジン搭載車などはエンジンマウントの交換だけでかなり大変な作業になってしまうことがあります。

その場合だと、作業料金だけで40,000円ちかく請求されることもあります。

遮熱板などの場合

エンジンからの排気の通路であるエキゾーストマニホールドですが、くっついた遮熱板からビビリ音が発生することもかなり多いです。

その多くは「コトコト」とか「カラカラ」といった感じに聞こえることが多いです。

この場合の修理費用や修理時間も車種によってかなり違ってきます。

なぜなら、エンジンが車のどの位置に搭載されているのかで、そこに付随するエキゾーストマニホールド、さらにそこに遮熱板までのアプローチが違ってくるからです。

少しオーバーに感じるかもしれませんが、同じ遮熱板の交換でも、ダイハツのミラなら2,000円の作業料金、スバルのインプレッサのターボモデルなら20,000円、ということもあるのです。

平均的な場合だと、軽自動車なら遮熱板の交換費用は部品と作業料金を合わせて10,000円もいかないと思います。

 

 

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