エアコンのコンプレッサーを作動させる上で、コンプレッサーオイルは重要なオイルで不足すると異音の原因にもなります。
本来はコンプレッサーオイルはエアコンのサイクルのなかを循環しているので減ることはありません。
ですが、実際には様々な理由でオイルが減ることがあり、コンプレッサーの故障の原因になることもあります。
今回のお話は
・なぜエアコンのコンプレッサーオイルは減るの?
・エアコンのコンプレッサーオイルが不足するとどうなるの?
・コンプレッサーオイルはどんなタイミングで入れるの?
こんな疑問にお答えしていきます。
また、エアコンのメンテナンスとしてコンプレッサーオイルを補充する必要はないのか、
オイルを入れるタイミングとはどんなときなのか、メンテナンスと修理の両方の場面で解説していきます。
カーエアコンのオイル不足の原因や症状とは
コンプレッサーオイルが減る原因
車のエアコンのコンプレッサーオイルは基本的には減らない仕組みになっていますが、エアコンの配管などの接続部分から少しづつ漏れていくことが多いです。
配管の継ぎ目からのロス
とくに新車から5年以上経過した車の場合、パイプや高圧ホースなどの継ぎ目に挟んでいるゴム製のOリングがヘタってくると、クーラーガスと一緒に抜けていきます。
ただ、エアコン用のコンプレッサーオイルは、エンジンオイルなどのように漏れた部分にそのまま濡れた状態にはならず、揮発するようになりわからなくなります。
つまり、少量の漏れでは漏れている部分を特定することも難しく、それぞれ複数の配管の継ぎ目から漏れている場合もよくあります。
つまり、あちこちから少しづつ漏れている場合はガス漏れの判定がやりずらいということです。
ガス漏れ箇所からオイルが漏れることも
コンプレッサーオイルは、エアコンを効かせるための冷媒であるフロンガスと一緒にエアコン装置の中を循環しています。
コンプレッサーオイルはフロンガスと混ざった状態でエアコンのなかをグルグルと巡っているので、ガス漏れが発生するコンプレッサーオイルも漏れていくことがあります。
ただ、フロンガスはコンプレッサーオイルよりも軽いので高い位置からガス漏れが発生した場合は、ガスだけが漏れてオイルはあまり漏れていないこともあります。
それに対して、低い位置にあるエアコンコンプレッサーや、高圧のフレキシブルホースのゴムをかしめている部分などからガス漏れが発生すると、大量のコンプレッサーオイルが漏れることがあります。
コンデンサーが破損することも
他にも、フロントバンパーのすぐ後ろ側にあるエアコンのコンデンサーなどは、飛び石や交通事故などで損傷することがあり、ガス漏れとオイル漏れが同時に発生することもあります。
とくにコンデンサーはコンプレッサーで圧縮された高圧ガスが冷やされる部分で、コンプレッサーオイルも溜まっていることが多いです。
そのため、コンデンサーの下側付近に損傷を受けると、かなりのコンプレッサーオイルを失うことになります。
オイル不足でコンプレッサーから異音がする
コンプレッサーからの異音にはさまざまな原因があり、オイル不足だけが異音の原因とはいいきれないこともあります。
とはいえ、本来はコンプレッサー内部の潤滑や密閉性を維持するためのオイルが不足することで、コンプレッサー本体から異音がすることが多いです。
異音がするときの条件はエアコンを作動させたときだけ発生しますが、「AC」のボタンや表示がオンになっているかどうかを確認する必要があります。
また、エアコンのコンプレッサーにはいくつかのタイプがあり、「ベーンタイプ」や「スクロールタイプ」などがあり、内部の構造の違いでも異音の質も違ってきます。
キリキリ音
エアコンのACボタンを押したとたんに「キリキリ」といった異音がエンジンルームからすることがあります。
エアコンベルトが傷んで硬化しているときも「キリキリ」とか「キュルキュル」という音がすることもあるので判別をするのは難しいです。
この場合、整備士はコンプレッサーに直接聴診器のようなものをあててコンプレッサー内部から異音がしているかどうかを確認します。
ゴロゴロ音
エアコンはそこそこ効いているものの、アイドリングでエアコンを作動させているとコンプレッサー内部から「ゴロゴロ」とか「ゴロンゴロン」といった重い音がすることがあります。
ガラガラ音
コンプレッサー内部が焼き付いてしまう直前に「ガラガラ」と大きな異音がすることがあります。
内部の金属部品が壊れることで回転すらできなくなる場合、直前にはガラガラという音がしますが、このときにエアコンのスイッチをオフにしておかないとエアコンベルトが切れてしまうこともあります。
自動車整備士は「コンプレッサーがロックした」という言い方をすることがありますが、コンプレッサーの内部が破壊したり焼き付いて全く動かなくなる状態を言います。
コンプレッサー本体からガラガラという音が出ている状態で使用しつづけていると、最後にはコンプレッサー内部がグチャグチャに破損してしまうこともあります。
こうなってしまった原因にはコンプレッサーオイルが不足したことによる潤滑不足も考えられます。
エアコンオイルを入れるタイミングはいつ?
メンテナンスとしてのオイル注入
単なるメンテナンスとしての、コンプレッサーオイルを交換するという作業はあまりメニュー化されていませんが、「汚れないオイルはない」という考え方で言えばコンプレッサーのオイルも交換するべきなのかもしれまえん。
ですが、実際はエアコンのコンプレッサーオイルの交換を大々的に謳っている整備工場はあまりありません。
間接的には「エアコンガスクリーニング」という整備メニューでコンプレッサーオイルもついでに交換するような作業があります。
ただしエアコンガスクリーニングで抜き取ることができるコンプレッサーオイルは10グラムにも満たないことがほとんどです。
手動でガス入れをするときは先に注入
ゲージマニホールドでエアコンの高圧側と低圧側の圧力を確認しながらガスを注入する際は、先にコンプレッサーオイルを入れます。
ボトルタイプのコンプレッサーオイルは、中にフロンガスも入っていて、その圧力を利用してオイルを低圧側から注入します。
つまり、ボトル内のフロンガスの量も計算しながらガスを入れていく必要があり、トータルでのガス注入量をその車の規定量に調整する必要があります。
個人的にはボトルタイプのオイルを注入するのはやりたくない派です。
エンジンオイルの交換と同じように
「抜けた量と同じだけ入れる」
ということが難しいからです。
修理としてのオイルを入れるタイミング
エアコンのガス漏れ修理の最終段階として、フロンガスの注入とコンプレッサーオイルの注入を行う作業があります。
この場合、交換したエアコン関連のどの部品を交換したのかで注入するオイルの量も違ってきます。
クーラーユニットのなかでもかなり大きな構成部品であるエバポレーターを交換したときは、その中にコンプレッサーオイルもかなり残っています。
抜けただけのコンプレッサーオイルを新しいエバポレーターの中に注射器などを使って注入します。
コンデンサーを交換したときやコンプレッサーを交換したときもそれぞれ抜けただけのオイルを注入し、エアコンサイクル内のオイルの総量を変えないようにします。
まとめ
エアコンガスは少しづつ減っていく
エアコンのコンプレッサーオイルはガス漏れが発生することでそこから少しづつ漏れて減っていきます。
ガスが漏れている場所がエアコンサイクルの比較的に高い位置にある場合、下に溜まりやすいコンプレッサーオイルはあまり漏れていません。
それに対してコンプレッサーが低い位置に配置されている車種でコンプレッサーからガス漏れがある場合はコンプレッサーオイルもかなり漏れ始めます。
コンプレッサーオイルが不足すると異音がでる
コンプレッサーオイルが不足すると、コンプレッサーの内部から「キリキリ」とか「ガラガラ」といった異音が発生します。
そのままでエアコンを使い続けると、コンプレッサーの焼付きや内部の破損が起き、コンプレッサーだけの交換では済まなくなります。
コンプレッサーオイルは普段のメンテナンスとして注入することはあまり行われませんが、エアコンガスクリーニンで簡易的に行うこともできます。
コンプレッサーオイルの入れ過ぎは逆効果
ただし、コンプレッサーオイルの入れすぎは、かえってエアコンの効きが悪くなってしまいますので、ボトルタイプのオイルを全量いれる場合は注意が必要です。
本来なら、コンプレッサーオイルはガス漏れ修理のときに必要な量だけを計量しながら直接配管などに注入するほうが理想的です。
エアコンのメンテナンスは専門業者が望ましい
たまにガソリンスタンドなどで、「エアコンシーズンなのでメンテナンスしませんか?」とセールスされることがあります。
走行距離が少なく、エアコンも効いているならコンプレッサーオイルを注入するだけの作業はコンプレッサーオイルの入れすぎになってしまうこともあります。
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